土居 秀幸
京都大学 大学院 情報学研究科
生物圏情報学講座
〒606-8501 京都市左京区吉田本町
京都大学大学院 情報学研究科
社会情報学コース 生物圏情報学講座
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様々な生物種(バクテリアから大型哺乳類まで)での生物学的な一般性や,生態学での一般的な命題について,既存文献データを収集してデータセットを作成し,メタ解析により検討しています。 バクテリアから大型哺乳類までで変化する体サイズあたりの代謝量と元素に対する純成長効率,生態化学量論との関係について,また生態学的な命題については食物連鎖長,放射性セシウムの代謝に関連するのデータセットを作成し,食物網構造の一般性について研究を進めています。
温暖化など急激な気候変動が予測されていますが,生態系が気候変動の影響にどのように応答するかはまだほとんど明らかになっていません。そこで,気 象庁の生物季節観測データなどの長期観測データセットを用いて,日本全国での植物・動物のフェノロジーの気候変動への応答について研究を進めています。特にマクロ生態学的な視点から,緯度と気候変動への応答との関係や,遺伝的多様性と気候への応答の地域変異について明らかにしました。また,開花ーポリネーター出現の時期や,宿主ー寄生虫個体群動態などからフェノロジーのミスマッチが相互作用系に与える影響についても検討しています。
湖や河川では,水中に動物のフンやはがれ落ちた皮膚などから溶出したDNA(環境DNA)が存在しています。環境DNA手法とは,これら水の中にあるDNAから,ある生物特有のDNAを定量PCR(リアルタイムPCR,デジタルPCR)や超並列シークエンサを用いて測定し、その生物の在不在や生物量を推定する方法です。これらの環境DNA手法により,水をすくうだけで,その水域の生物多様性が把握できる可能性があり,現在研究に取り組んでいるところです。
食物網は,生物の被食ー捕食の相互作用を記述した基本的な構造で,生物群集や生態系機能・サービスなど生態系の機能と構造の多くを規定しています。 食物網構造を表す重要な指標の一つである食物連鎖長(生産者から最上位捕食者までの栄養段階の長さ)については,今まで多くの議論が重ねられ,どのように食物連鎖長が規定されているのかについて多くの仮説が提案されていま す。そこで,安定同位体比を用いて食物連鎖長がどのようにして規定されているのかについて,様々な仮説の野外での検証を行っています。 食物網の空間構造と栄養補償,物質循環などに着目して,湖沼・河川・干潟・沿岸海洋などのさまざまな水圏生態系において,安定同位体比などを用いて,食物網の時間的・空間的な構造とその動態について研究を進めています。