土居 秀幸

京都大学 大学院 情報学研究科

生物圏情報学講座

 

 

〒606-8501 京都市左京区吉田本町 

京都大学大学院 情報学研究科 

社会情報学コース 生物圏情報学講座

 

E-mail: hideyuki.doi (at) icloud.com

 


NEWS

 

2023

  • 1 May ポスドクとして、大庭ゆりかさんが着任されました。
  •  1 Mar. ため池の池干しによるを魚類捕獲調査データを利用して環境DNAと魚類の生物量の関係について検討した論文がFreshwater Biologyに掲載されました。

2022

  • 1 Oct. 京都大学大学院情報学研究科 社会情報学専攻 生物圏情報学講座 に異動しました。
  • 19 Jan. 新型コロナウィルス(COVID-19)による世界的なロックダウンによって、人間行動と、大気NO2へがどのように変化したかを明らかにし、さらにSDGs(持続的開発目標)への短期・長期的な影響を評価しました。 LINK

 

2021

  • 21 Jul. 時系列データからの因果推論(CCM)を用いて深海生態系の生物多様性と水温などの要因との因果関係を解析した論文がBiology Lettersに掲載されました。 LINK
  • 20 Jun. 現場環境DNA濾過ー抽出とモバイルPCRにより30分で現場で環境DNAを検出できる手法を開発し、論文として発表しました。. LINK
  • 1 Apr. ポスドクとして、大竹裕里恵さんが着任されました。
  • 1 Apr. 情報科学研究科が発足し、 情報科学研究科に所属が変更になりました。
  • 25 Mar. 博士学生の齊藤さんの論文はほぼ同時に2報掲載されました。環境DNAの減衰について、単離細胞やDNA断片などを用いた実験と減衰モデルでの解析(LINK)と、メタ解析による減衰予測シミュレーションを行いました(LINK)。

2020

  • 20 Oct. 新しい論文をPNASに出版しました。この論文では、海底堆積物中の微生物群集の世界的な多様性を推定しました。私は主に種数モデルを使った全球の微生物種数の推定に貢献しました。 LINK
  • 9 Oct.海洋の堆積コアのDNAを用いた論文がCommunications Biologyに掲載されました堆積DNAを用いて、過去300年間の魚類資源の動態を追跡することができました。 LINK
  • 4 Aug. 新しいレビュー論文を出版しました。このレビューでは、誘導性防御における種内変動の生態学的・進化学的要因を主にミジンコ実験から得られた知見を元に総合的にまとめたものです。 LINK
  • 3 Aug. 研究室ツイッターアカウントを始動しました。 https://twitter.com/Doi_Lab
  • 7 May 研究室紹介のページを新設しました。博士前期、後期の学生大募集中です。LINK
  • 12 Jan. ため池において希少な二枚貝であるドブガイ(Sinanodonta spp.) LINK と、外来種であるミシシッピアカミミガメ(Trachemy scripta elegans) LINK の環境DNAによる生息分布推定方法をそれぞれ提案しました。

2019

  • 23 Jul. 近年の地球温暖化が、動物の生物季節や形態変化に与える影響についての国際共同研究が、Nature Communicationsに発表されました。世界各国のデータをメタ解析にて収集し、主に鳥類において生物季節は温暖化に伴い変化するものの、形態はほとんど変わっていないことが明らかとなりました。国内外のメディアでも取り上げていただきました。LINK
  • 11 Jul. ポスドクの松岡さん筆頭の、森林河川水中から環境DNAメタバーコーディングで菌類DNAを調べた論文が発表されました。河川水を調べることで多くの森林性菌類を捉えることができました。またそれらの空間構造について明らかにしました。 LINK 
  • 28 Jan. ドイツで行なった実験成果が、Communications Biologyに発表されました。食物連鎖の長さへの生物の侵入履歴と生産性の影響について検証しました。マイクロコズム実験を用いて、3者の消費者について侵入履歴を操作して検証しました。LINK

2018

  • 30 Sep. 一般社団法人環境DNA学会の第1回学会大会と公開シンポジウムが、東京・日本科学未来館で開催されました (http://ednasociety.org)。
  • 4 Jul. 私たちのレビュー論文"A macroecological perspective for phenological research under climate change"がEcological Research編集長推薦として、SpringerNatureのChange the World 2018の1つとして紹介されています。LINK 

研究内容

メタ解析・大規模データ解析による生物学・生態学の一般則の検証

様々な生物種(バクテリアから大型哺乳類まで)での生物学的な一般性や,生態学での一般的な命題について,既存文献データを収集してデータセットを作成し,メタ解析により検討しています。 バクテリアから大型哺乳類までで変化する体サイズあたりの代謝量と元素に対する純成長効率,生態化学量論との関係について,また生態学的な命題については食物連鎖長,放射性セシウムの代謝に関連するのデータセットを作成し,食物網構造の一般性について研究を進めています。

 

気候変動と生態系の応答

温暖化など急激な気候変動が予測されていますが,生態系が気候変動の影響にどのように応答するかはまだほとんど明らかになっていません。そこで,気 象庁の生物季節観測データなどの長期観測データセットを用いて,日本全国での植物・動物のフェノロジーの気候変動への応答について研究を進めています。特にマクロ生態学的な視点から,緯度と気候変動への応答との関係や,遺伝的多様性と気候への応答の地域変異について明らかにしました。また,開花ーポリネーター出現の時期や,宿主ー寄生虫個体群動態などからフェノロジーのミスマッチが相互作用系に与える影響についても検討しています。

 

環境DNA

湖や河川では,水中に動物のフンやはがれ落ちた皮膚などから溶出したDNA(環境DNA)が存在しています。環境DNA手法とは,これら水の中にあるDNAから,ある生物特有のDNAを定量PCR(リアルタイムPCR,デジタルPCR)や超並列シークエンサを用いて測定し、その生物の在不在や生物量を推定する方法です。これらの環境DNA手法により,水をすくうだけで,その水域の生物多様性が把握できる可能性があり,現在研究に取り組んでいるところです。

 

食物網

食物網は,生物の被食ー捕食の相互作用を記述した基本的な構造で,生物群集や生態系機能・サービスなど生態系の機能と構造の多くを規定しています。 食物網構造を表す重要な指標の一つである食物連鎖長(生産者から最上位捕食者までの栄養段階の長さ)については,今まで多くの議論が重ねられ,どのように食物連鎖長が規定されているのかについて多くの仮説が提案されていま す。そこで,安定同位体比を用いて食物連鎖長がどのようにして規定されているのかについて,様々な仮説の野外での検証を行っています。 食物網の空間構造と栄養補償,物質循環などに着目して,湖沼・河川・干潟・沿岸海洋などのさまざまな水圏生態系において,安定同位体比などを用いて,食物網の時間的・空間的な構造とその動態について研究を進めています。